リンパ浮腫とは手足のむくみが症状ですが、がん治療後に発症する続発性リンパ浮腫と稀ですが原発性リンパ浮腫があります。先天性もありますが、原発性では原因が特定できず、発症年齢で早発性と遅発性に分けられます。まずはむくみの原因としてリンパ浮腫かどうかを診断することが重要です。

リンパ浮腫の治療としては保存的治療と手術があります。以前から手術は確立された標準的なものはありませんでしたが、最近ではリンパ管静脈吻合が保険診療となり形成外科で行われています。手術で完全に治癒できるものではなく、保存的治療は継続していく必要があります。

保存的治療は理学療法を含めた「複合的治療」と言われ、用手的リンパドレナージ(MLD)、弾性着衣による圧迫療法、運動療法、スキンケアが主体で、セルフケア指導なども行われます。リンパ浮腫は完全に治ることが難しいので、良い状態を維持し悪化させないこと、皮膚のトラブルや蜂窩織炎(皮下組織の細菌感染による発赤や腫脹)を起こさないことが重要であり、生活の質を保つためには保存的治療の理解と継続は必要になります。当院では保存的治療を行っておりますが、手術のご相談にも対応しています。

医療保険での適応は少しずつ拡大されていますが、国が定めるリンパ浮腫診療の施設基準を満たす施設は少なく、また医療保険だけで十分な治療が受けられるものではありません。当院ではリンパ浮腫治療を身近に感じて頂き、患者さまの悩みに寄り添い、リンパ浮腫診療を行える施設となれればと考えております。

当院でのリンパ浮腫外来

当院初診時は医師よりリンパ浮腫の診察、診断を行います。リンパ浮腫と診断されれば、その後、浮腫を専門とする看護師がリンパ浮腫外来で複合的治療、生活指導などの診療を行います。リンパ浮腫外来は完全予約制で自費診療となります。
*医師により定期診察を行い、状態の変化や合併症に対しても随時医師が対応します。医師の診察、治療については保険診療で行います。

診療内容と治療に対する注意事項

  • 初回のリンパ浮腫外来では浮腫や皮膚の観察、周径計測、弾性着衣の選択、リンパドレナージ(MLD)を行います。初回診察では大塚顧問と複合的治療の方針を検討します。
  • 再診でMLDを希望されない患者は、周径測定、弾性着衣の選択および装着指導、セルフケア指導などが主な内容で、患者の相談も受けています。
  • 担当顧問の大塚俊介(日本浮腫緩和療法協会理事長)の診療は不定期で2回/月行っています。完全予約制で自費診療となります。
  • 医師診察は保険診療で継続可能です。
弾性着衣の費用について

治療に必要な弾性着衣(スリーブやストッキング)、弾性包帯の料金は別途必要となります。弾性着衣等に係る療養費の支給の制度があり、医師または担当看護師が説明し対応します。

【一般的な合併症・副作用について】

  • リンパドレナージや圧迫療法は、患者さまの病状や皮膚の状態に合わせて安全に配慮して行いますが、一時的な疲労感、だるさ、または皮膚の赤みなどが生じる場合があります。また効果には個人差もあります。複合的治療やセルフケアは生涯継続が望ましいと考えますが、患者さま個々の要望に対応いたします。
  • 不適切な圧迫による症状の悪化の可能性があります。いつでも適切な装着方法について指導しますのでご相談下さい。
  • 皮膚感染症(蜂窩織炎など)を発症している場合は、一時的に治療を見合わせる(または消炎治療を優先する)ことがあります。

ICGリンパ管造影検査、当院の取り組み

インドシアニングリーン(ICG)色素を用いたリンパ管造影は皮下の浅い部分のリンパ管の走行・逆流・停滞をリアルタイムに評価します。当院では造影により「流れているリンパ管領域」を確認し、リンパ流のうっ滞・逆流している領域を避け、リンパ流のある経路へ誘導するリンパドレナージについて検討しています。患者さまのリンパ管の状態を可視化することでオーダーメードのリンパドレナージができればと考えています。

ICGリンパ管造影では色素を皮下にごく少量注入し、血管に注射するのではありませんのでアレルギー反応は極めて稀です。ヨードアレルギー歴のある方には行っておりません。皮下の注射の痛み、皮膚の発赤や色素沈着などが起こることがあります。

ICGリンパ管造影検査は2026年6月より保険診療での検査の目的が拡大されております。リンパ浮腫の確定診断、リンパ管静脈吻合術の適応診断を目的とした検査となりますので、リンパドレナージを目的とした場合には自費診療となります。

他院からのご紹介も受付けており、セラピストが患者に同伴されますとICG見学が可能です。

外来診療の受診方法と費用

  • 完全予約制ですが、不定期で行っております。現状では医師の初診時または後日電話連絡にて診療日時の調整・予約を行っております。
  • お問い合わせは診療時間内に、お電話または受付窓口にて「リンパ浮腫外来について」とお伝えください。リンパ浮腫担当看護師が対応致します。
  • 看護師によるリンパ浮腫外来は自費診療となり、同日に保険診療(処方など)との混合診療を受けることはできません。ご理解いただきますようお願い致します。
 費用(税込)時間内容
*医師診察(初診・再診)保険診療(予約不要) ―診察、エコー検査など
リンパ浮腫外来・初診¥8,80060分以上*大塚顧問の診察あり
リンパ浮腫外来・再診¥6,60040-60分MLDを含む
再診¥2,20030分以内MLD は含まれない
ICGリンパ管造影¥5,000(保険診療)
上記金額の1~3割負担
 ―自費診療の場合にはお問い合わせください 
リンパ浮腫外来は看護外来となります。
木・金曜日については医師不在のこともあり電話でご確認下さい。

入院でのリンパ浮腫診療

リンパ浮腫に対して集中的に圧迫療法やリンパドレナージを行い、セルフケアの指導を行い、リンパ浮腫に対する理解を深めて頂きます。リンパ浮腫増悪や皮膚合併症、蜂窩織炎発症された場合には入院治療をお勧めする場合もあります。入院治療は保険診療で行います。

顧問紹介(リンパ浮腫専任)

大塚 俊介(おおつか しゅんすけ)
一般社団法人 日本浮腫緩和療法協会 代表理事

2008年よりリンパ浮腫治療技術者育成講座を開設し、医療従事者にリンパ浮腫複合治療の実技指導を行っている。
2024年より台湾でも技術者育成講座を開始し国際連携にも取り組んでいる。ドイツフェルディ学校よりセラピスト資格を取得、フランスモンペリエ大学医学部リンパ学ディプロマ取得(日本初)し、ICC(世界の圧迫治療者のクラブ)国際会員としても活動中。
2010年より久留米大学認定看護師教育センター非常勤講師を務める。MLPT(Manual Lymphatic Pumping Therapy)開発者であり、国内外で講演・教育活動を行い、リンパ浮腫治療の個別化と標準化を推進している。
リンパ浮腫治療学会評議員。